la vie est merveilleuse!

ふと思いついたことの徒然をゆっくりと

詐欺の現場

さて、これはフィクション、です。


その昔、
船橋の駅そばの某マンションの売却をしてほしいという話が入った。
金が返せないので、マンションを売らせるから、という知り合いの金融屋から。
立地も良く、急ぎ働きをしたかったので安めに価格を設定したこともあり、
千葉の業者がすぐに手を挙げた。
あらかじめ千葉の業者の事務所で契約ごとを済ませ、
買主がローンを組んだ銀行に行く段取りだったが
当日になって売主側から、少し遅れる、と言う連絡が入った。
直接銀行に来てもらうことにして、銀行で買主、司法書士、銀行担当者が
彼の到着を待っていた。
ジリジリしていたところに、私の携帯が鳴った。
席を外して電話を受けると、
売主が失踪した、という金融屋からの電話だった。
はい?(⌒-⌒; )
契約に必要な権利証と実印と印鑑証明書、運転免許証はある、という。
とはいえ、本人がいなくては・・・
前代未聞の出来事で、諦めるしか無いか、と思った。
金融屋が、決断した。
しょうがないから俺が行きます、と。
最悪、俺からの紹介で、
売主とは電話でしか話していないから知らなかった、とか言ってください。
そんな話、通らない。絶対バレる、って。
しかし、今更、という思いが頭をよぎる。
売主の意思は事前に私が確認しているし、書類も揃っている、印鑑もある。
本人だけがいない。
やるかやらないか。
やる、という決断。


難関は銀行と司法書士の本人確認。
免許証の顔写真が似ても似つかない。
バレたらしょうがない、と言って、彼は来た。
銀行の一室のみんなが揃っている場所に、彼は明るく入ってきた。
すみませんねえ、遅くなりまして、と。
さすが詐欺師、笑。
内心の動揺は噯にも出さず、堂々と入ってきた。
契約書その他書類に、なりすまし彼が署名捺印をして
運転免許証を添えて司法書士に渡すことになった。
ここで、絶対バレる・・・・・南無三!!


オーシャンズ12の映画の最大の見せ場😅


が、なんということでしょう、笑


司法書士は、書類全てをさらっと確認して、
何事もなかったように行員に渡して、コピーを依頼した。
司法書士は書類に不備がないかどうかだけが重要だったのではないだろうか。
銀行員も、また然り、で書類が揃っているかどうかしかみてなかったのではないか。
両方とも、免許証の顔写真と彼を見比べなかったのだろう。
似ていようがいまいが、書類があれば良い。
買主はもちろん、マンションの権利が手に入れば良い。


もう一つ考えられるのは、
全員の思惑が一定方向で一致していたので
黙って取引を進めよう、という暗黙の了解を取ることを選んだのではないか。
全員の利益が、取引を完了させることで一致していたから、
売主が違うことを騒ぎ立てて取引がなくなることよりも
取引を完了させることを優先したのではなかろうか。
実は、この方が腑に落ちる。
だって、写真と全然違うもの。


全員詐欺師って、笑


その後滞りなく契約ごとは済み、彼はマンションの代金数千万円を手にした。
あらかじめ現金で、と依頼しておいたのだ。
その場で解散し、私となりすまし彼は落ち着いた様子で銀行を後にした。
中野から車で来た彼の車内に入った途端、二人で大きな安堵の声と大爆笑。
ふざけんなよお、でも、こんなことってあるんだねえ、と私。
いやあ、すみません、ご迷惑おかけしました。
今朝になっていきなり飛びやがって。
書類を預かっておいて良かったですよ、と彼。
出てきたらどうする?
出てこられませんよ、追ってるのはウチばっかりじゃないから。


仲介料を受け取って、彼の貸した金を引いて、まだ1千万以上が残る。
迷惑料、と言って二人で折半にした。


帰路、大宮にある有名店で鰻を食べた。
ご馳走様。


昔、某大手不動産会社の社長から
見た目と違って荒っぽいことするんだねえ、
嫌いじゃなけど、と口説かれたっけ、笑

×

非ログインユーザーとして返信する