la vie est merveilleuse!

ふと思いついたことの徒然をゆっくりと

宅地建物取引士

30年以上、不動産業界にいた。
もう10年くらい前に引退したのだが
その頃の経験や知識が、ひょんなことから生きることがある。
お店に遊びに来ていた70歳代の男性が
嬉しそうに、ずっと使わずに放っておいた別荘地に買い手がついたんだよ、と。
話を聞く。
発端は数十年前に黒磯の30坪程度の別荘地を、
いずれ値上がりするから、と言われて買ったそうだ。
素人が手を出す物件じゃないけどなあ、と思いますよ、笑
そもそも別荘地で30坪という狭さではそれほど需要も見込めないけど。
そっか、騙されやすいんだ、とわかる。


で、ここに来て
都内の不動産屋から
買いたい人がいるので仲介させてください、と電話が来たそうだ。
500万円。
本人が買った値段らしい。
売ります、と即答した。
ただ、長年放置してあったので、草木の生え放題、荒れ放題なので
県の伐採許可をもらって伐採して、整地する必要がある。
また、伐採許可をもらうのは本人が行かなくてはならないので
私どもで一旦買い取ります。
売買契約書にサインをいただきますが、形式的なものなので
金銭授受しません。
ご不安でしょうから代わりに、
私どもの持っている土地を一旦お渡しします。
と言われて両方の売買契約書にサインした。
ついては手続き費用、伐採費用等で50万円ほどかかります。
また、私どもの土地は、厚意で提供しているので、
会社の資産管理上、帳簿に計上するので、
手付金の50万円だけ払ってほしい。
こちらはお客様のご安心のために提供したものなので
全て完了した後に返金します。
塩漬けの土地が売れて200万円でも300万円でも戻るなら、
と本人は喜んで100万円を支払った。


さあ、絵に描いたように胡散臭い、笑


ただ、こうして書くと笑えるほど胡散臭いが
きちんとした誠実そうなイケメンの営業マンが来て
言葉巧みに説明されると、信じてしまうのも仕方がない。
相手はプロだから。


そもそも、書類が不備すぎる。
謄本も提示されていない。実際その土地は存在するんですか?笑
重要事項説明書がない
宅地建物取引士の説明がない、
業法違反でしょ、等々
ツッコミどころが満載で、あまりの杜撰さに呆れてしまう、
田舎のお年寄り、ということで馬鹿にしているのだろうか。


とりあえずその営業マンをもう一度読んでもらって
本人目の前にして問いただす。
若い、笑
さて、試合開始。
まあ、いろいろ言い訳するけど
悪いけど、私の方があなたより上手です、とすぐにわかった。
一番笑ったのは
重要事項の説明は昨年からいらなくなった、の一言。
苦し紛れの言い訳にしては、それはきついだろう、笑


事前にどうするか相談しておいた。
警察沙汰にするかどうするか。
当事者の売主は、ご夫婦ともども金が戻れば良いよ、
まだ若いし、これからのこともあるし、と鷹揚だ。
特に奥様は、イケメンだし、良い子だよ、とゾッコン。
良い子は、こんなことしませんけど、笑


で、最終的に
不問に付してあげる返金しなさい、ということで終わらせた。


引退した元リアル詐欺師の知り合いがいるが
善男善女とはいえ、多少の欲があるからね、すぐに騙せる、と嘯く。


今でもたまにいろんな方から相談を受ける。
目の届く範囲で、手助けできるなら、それは嬉しい。
騙されていても、気がつかなければそれは真実。

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