ストリートピアノ
昨日、電車に乗って、友人とランチに出かけた。
ほとんど車移動で、滅多に電車には乗らないので
最寄駅のコンコースにピアノが設置されているとは知らなかった。
ストリートピアノ。
17時少し前、初老の男性がピアノに向かっていた。
足元には大きな秋田犬。
胸元に回されたリードに大きな名札をつけていた。
軽やかに鍵盤の上を走る指先
流れ出るメロディー
あいにく知っている曲ではなかったが
しばらく足を止めた。
ニット帽に、明るい茶系の短い上着、カーキ色のパンツ
白いものの混じる髪
体全体を使って、周りなど意に解さないように、ただ弾く。
そして大きな名札をつけて、足元で聞き入っているかのような大型犬
ワクワクしてしまった、笑
どんな物語があるのだろう。
どんな物語が作れるだろう。
ふと見受けられる、日常の中の違和感。
そこからゆっくりと想像の翼が広がっていく。
彼の、どんな歴史が、ここでピアノを弾かせているのだろう。
秋田犬の大きな名札にはどんな意味があるのだろう。
時間に迫られていた私は
大きなため息と心をそこに置いて、離れた。
お話が聞きたかった。
街には物語が渦巻いている。