パピヨンご一家
ふと、思い出した。
3年ほど前に、最後のパピヨンを看取った。
19歳のお父さん犬。
我が家には、ご夫婦犬と一人娘の3匹のパピヨンご一家が同居していた。
美人のお母さん、イケメンのお父さん、ヤンチャな娘さん。
お母さんは美人パピヨンで、近所のパピヨンクラブの会長さんから
このお顔は残したい、と言われたほど。
でも、わがままで、気分屋で、自分が可愛いことをよく知っている、笑
娘さんもお母さんの気性を受け継ぎ、まあ強い
お父さんは、優しすぎて、いつも二人のご機嫌伺いながら隅っこ暮らし
なかなかのハンサムさん。
お母さんと娘さんは時々、派手に喧嘩をする。
初めの頃はお父さんが仲裁に入ったが、なんと弾き飛ばされた。
以来お父さんは、喧嘩が始まると、部屋の隅っこにちょこんと座って
下を向いて嵐が過ぎ去るのを待っている。
思い出を語りだすとキリが無い。
胸がいっぱいになるので、思い出したくない。
17歳でお母さんが他界。
私も一緒になってみんなでお昼寝をしていて、
ふとお母さんの目が遠くを見つめているので、あ、と気がついた。
そっと目を閉じてあげた。
2年後、娘さんが18歳で、やはり添い寝をしていた私の横で目を閉じて起きなかった。
翌年、19歳になったお父さんが静かに息を引き取った。
枯れ木のような足を突っ張って、懸命に立っていた。
それが3年前。
みんな、良い子過ぎるくらい良い子達だった。
こんな夜中に、なんでみんなのことを思い出したんだろう。
見上げると、居間の高いところに、3匹のお骨が写真と共に未だに並んでいる。
もう少し待っててね。また一緒にお昼寝するから。